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設備に不具合が生じたら、家賃を減額してもらえる
今回の改正でこれまであいまいだったものが明確になったことに、もうひとつ、設備の不具合があった際の家賃の減額があります。
設備が故障して使えなくなった場合、改正前の民法でも「賃料の減額を請求することができる」という規定がありました。今回の改正では「使用および収益ができなくなった部分の割合に応じて賃料は減額される」という強い表現になりました。民法ではいくら減額できるのかということまでは踏み込んでいませんが、日本賃貸住宅管理協会がガイドライン(下図)を公表しているので、これがひとつの目安になります。
減額割合 | 免責日数 | |
電気 | 40% | 2日 |
ガス | 10% | 3日 |
水道 | 30% | 2日 |
上記以外 | ||
風呂が使えない | 20 | 1日 |
トイレが使えない | 20%10 | |
エアコンが作動しない | 5000/月 | 3日 |
通信設備が使えない | 10% | |
雨漏り | 10%~50% | 7日 |
ほかにも、これまではエアコンが壊れた、雨漏りがするといった賃借物にトラブルが発生し、修繕が必要なのに賃貸人が対応してくれない場合も、賃借物はあくまで賃貸人の物なので、賃借人は一切自分で修繕することができませんでした。これも賃貸人が相当の期間内に対応してくれないときや、急迫の事情があるときは賃借人が修繕をしても賃貸人から責任を追及されることはないことが規定されました
改正内容が適用されるのは施行日以降の契約のみ
賃借人にとってはルールが明確になった喜ばしい改正なのですが、残念ながら継続中の契約については適用されません。適用を受けるためには次回の契約更新の際、改正後の新しい民法が適用された契約書で合意することが必要です。
今回の改正では保証についても、上限額の定めのない個人保証は無効というルールが新たに設けられました。しかし、保証については更新後の債務も保証するという趣旨で保証契約が結ばれている場合が多いようです。保証について合意更新をしなかった場合は、改正前の民法が適用され続けるので注意が必要です。更新だから問題ないだろうと思い込まず、次の更新時は契約内容をしっかり確認しましょう。
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